研究課題
古代ローマ法における遺贈について、相続法全体の中に位置づけると同時に、不履行に備えた担保の問題について、経済史の視点も踏まえた論考を公刊した。他方で、日本における後継ぎ遺贈に関し、ローマの実務を踏まえ再検討する英語論文も、書籍にて公表した。この書の編者によるU. Babusiaux, Wege zur Rechtsgeschichte: roemisches Erbrecht (2015)の精読を終えた。そこで指摘される民会立法、実務家による法、そして皇帝の介入としての勅法という三層構造に学び、自身の研究でも被相続人と相続人、そして受遺者の相互関係が時代を経て如何に規律されたかを分析した。様々な論点に触れるべく、国際学会や国内の学会・研究会に出席した。国際学会では、銀行家の死亡に伴う相続債務を巡る事件を検討し、債権回収の実態を分析した。討議において新たな論点も指摘され、今後、論文として公表予定である。また、1月に南山大学で開催されたローマの胎児保護法に関する講演会では、招へいされたポーランド人研究者の講演原稿について、共訳の形で邦訳を担当し、事前に発表内容を配布した。人がどの時点から権利主体となるかを巡る興味深い内容であり、自身の研究に取り込む予定であり、追って雑誌に翻訳として公表する手配を進めている。これまでに担当した講演邦訳については、年度内に二本の翻訳として、雑誌上で公表した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
ローマ法雑誌
巻: 1 ページ: 167-176
doi.org/10.14989/ARK_1_167
Ulrike Babusiaux, Mariko Igimi (eds.), “Messages from Antiquity”: Roman Law and Current Legal Debates
巻: - ページ: 107-112
額定其労・佐々木健・髙田久実・丸本由美子編『身分と経済ー法制史学会70周年記念若手論文集』(慈学社)
巻: - ページ: 531-558