研究実績の概要 |
規制法が現実にどのように実施・執行されているのかは,法が社会にとって望ましい機能を果たしているのかどうかを知る上で必要不可欠な視点である.本研究課題では,法の記述があいまいである点に着目し,規制者たる行政との相互作用性を通じて,法はどのように実施現場において具体的意味が構築されているのか,法の意味の具体化の展開ダイナミクスと被規制者のそれに与える役割について注目した.同時に,あいまいな規制法に対し行政側はどのように対応しているのかについても考察の対象としている. 本年度も,被規制者における遵守行動,行政におけるあいまいな法の解釈行動について,引き続き調査・分析を実施し,その成果の一部を論文及び学会報告という形で公表することができた.被規制者における法遵守行動について文献調査を進め理論の深化を目指した.行政機関との相互作用を通じてあいまいな法の具体化が行われており,それは交渉という形態として理解できることを論じた.また,行政機関におけるあいまいな法の解釈行動についても経験的調査・分析を進め,その際特に,近年我が国でその数を増やしている自治体内弁護士の存在に着目した.英語論文How networks among frontline offices influence regulatory enforcement は規制研究の世界的トップジャーナルRegulation & Governance(採択率9%以下)の採択内定を得た.海外報告もThe Annual Meeting of Law and Society Assoiation, Research Comittee of Sociology of Law で行なった.本研究課題に関連する書評も記した.
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