本研究の成果は、「他者」という切り口から、日本の立憲主義の再定位を試みたところにある。多様な個人の集まりを「われら日本国民」へと昇華させるためには、ノモス(人間が意味を志向するところに成立する規範世界)とナラティヴ(無味乾燥な法規範を豊かなものとする物語)という二つの装置が必要となることを、西洋諸国の経験から明らかにした。その上で、立憲主義の実現には、自己という存在を根底から揺さぶる他者と不断に直面することへのコミットメントが必要であることを明らかにした。その主な成果は『近代立憲主義と他者』(岩波書店)に収められている。
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