本研究では、財政が貨幣による統治であることに着目したうえで、そのことと関連して議論しうる法制度(中央銀行制度、国債発行制度、予算制度)を法律学的手法(文献研究、国内外の研究者とのディスカッション等)によって分析し、①貨幣が適切な機能を発揮することが憲法上の要請であり、そのための仕組みとして中央銀行制度があること、②近年話題となっている仮想通貨は、既存の貨幣を置き換える可能性があるが、しかしその仕組みについても憲法的な価値を及ぼすべきこと、③国債の発行可能額は、通貨制度と密接に関係すること、④一方、財政赤字の統制を巡る憲法学的研究はまだ不十分であること、などを明らかにした。
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