裁判所によって裁判してもらうためには、原則として「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)に該当しなければならない。国または地方公共団体の内部ないしそれら相互間における争訟は、十分な理論的考察を経ることなく、機関訴訟(行政事件訴訟法6条)に位置付けられ、「法律上の争訟」に含まれないとされてきた。しかし、このままではそのような争訟の帰趨が政治的な力学に委ねられることになり、法が十分に貫徹されないおそれがある。本研究は、ドイツ法を主な素材として、そのような争訟も「法律上の争訟」に当たるか否かを理論的基礎に遡って検討し、その可能性を示した。
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