研究課題/領域番号 |
16K16994
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
小野木 尚 大阪経済法科大学, 法学部, 助教 (90752527)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 擬似外国会社規制 / 会社法821条 / 事業活動の自由 / 友好通商航海条約 / 二国間投資協定 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の会社法821条が定める擬似外国会社規制が、締約国会社に対する内国民待遇を定める友好通商航海条約上の「事業活動の自由」に反するおそれがあるとの問題意識から、同規制と条約との関係性を明らかにすることを目的とする。研究代表者は、諸外国の状況との比較的考察により、日本における当該関係性を明らかにするために、EU構成国における擬似外国会社規制及び規制と条約との関係性に関する文献・情報を調査し、分析を開始した。具体的には、①EU機能条約における「開業の自由」に関する最新の動向、②ドイツ及びその他の諸国における通商航海条約上の「開業の自由」に関する文献、③EUの主要構成国における擬似外国会社規制の方法を調査するために、夏季休業期間を利用して欧州で資料調査を行った。その結果、オランダ・ハーグにおいては、Peace Palace Libraryにて多くの資料を収集するとともに、同研究機関のデータベースへのアクセス権を取得することができ、日本からも重要な文献について調査できる環境が得られた。 また、研究を進める上で、友好通商航海条約だけではなく、二国間投資協定にも「事業活動の自由」に類似の規定があることが明らかとなった。そのため、日本の締結する二国間投資協定について調査を行い、日本の擬似外国会社規制との関係性を明らかにした上で、その研究成果を論文(「二国間投資協定における事業活動の自由と日本の擬似外国会社規制」国際公共政策研究21巻1号115-124頁)として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目標は、①欧州における資料調査の実施、②欧州で得られた資料を基に、「開業の自由」に関する欧州の最新の動向についてまとめた研究成果の公表、③EU構成国における擬似外国会社規制の方法の調査の開始であった。このうち、欧州における資料調査については、多くの文献を収集することができた。しかし、収集された文献数が膨大となり、その分析に想定以上の時間を要している。また、諸外国の擬似外国会社規制の方法の調査については、資料調査を行った機関では各国の国内法の内容まで明らかにすることができなかった。これに加えて、研究代表者は、研究機関移籍後初年度であり、新たな研究環境が当初想定していたものとは異なる点があったことから、研究環境の整備に時間を割く必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては、引き続き欧州における資料調査で得られた文献の分析を行い、「開業の自由」と擬似外国会社規制との関係について、最新の動向を明らかとするとともに、各国の擬似外国会社規制の内容について追加的に調査を行い、その内容を明らかにしたい。また、アメリカにおいても資料調査を行い、欧州における資料と比較検討することにより、不足している資料については補足的に調査を行うこととする。これらの調査を基に、当初計画していた研究成果の公表へと結びつけるため、研究を円滑に遂行する予定である。また、研究途上で明らかとなった、二国間投資協定等の条約についても、継続的に調査・研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外における資料調査によって、データベースへのアクセス権が得られ、当初予定していた文献の購入代金が減額された。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においては、研究に必要な文献を再整理したうえで、外国文献の購入費に充てる予定である。
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