平成29年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 まず、平成28年度からの継続事項として、EUの主要加盟国における擬似外国会社法制について、補足的な資料収集を行った。 次に、米国における擬似州外(外国)会社規制に関する調査として、夏の休業期間を利用して米国の大学において資料調査を行った。具体的には、カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクール図書館において、カリフォルニア州一般会社法を中心に、ニューヨーク州法を含め、擬似外国会社規制を有する州の法規制に関する資料調査を実施した。収集した資料を分析した結果、米国内では、特に擬似州外(外国)会社規制を定めるカリフォルニア州一般会社法2115条に関して、合衆国憲法上の問題も含めて、多くの議論がなされていることが明らかとなったが、当初想定していた、通商航海条約上の「事業活動の自由」と擬似外国会社規制との関係性について議論するものについては見当たらなかった。一方で、米国内では、州外会社について、どの州が規律するのが最も適切かという規律管轄権の視点から、州外(外国)会社の規律政策を考察しているという知見が得られ、日本の擬似外国会社規制の方法について検討する上で有用なものであることが明らかとなった。 上記の調査で得られた知見については、国際取引法フォーラム、国際商取引学会、日中韓学術シンポジウム等の国内外の研究会及び学会において報告し、他の研究者から貴重な指摘が得られた。 上記研究会・学会報告における指摘を反映させたうえで、本研究の成果を論文にまとめ、国際商取引学会の学会年報へ投稿し、査読を通過したため、掲載予定である。
|