本研究の成果として指摘できるのは、規範の柔軟性に関する既存研究の体系的な整理である。1960年代以降の開発の国際法において活発であった規範の柔軟性研究が、1980年代以降、その勢いが急速に衰退することを明らかにした。他方で、開発の国際法それ自体に関しては、近年、仏を中心に「再燃」とも呼べる現象を見て取ることができることも判明した。しかし、同現象においても、国際労働法における規範の柔軟性は取り上げられることはなく、本研究の新規性を改めて確認することができた。また、先行研究に基づき、現在、ILO諸条約やFTAに挿入されている規範の柔軟性の体系的な類型化を行った点も、本研究の成果といえよう。
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