本研究により、 裁判員裁判における殺人罪の刑期判断が、(1)被害者と関係、死亡者数、共犯関係、動機、凶器等、計画性という量刑因子によって、基本的な位置づけがなされ、(2)その基本的な位置づけに対して、心神耗弱、過剰防衛、被害者の落ち度、薬物、死体遺棄、放火という量刑因子が、犯情として、基本的な位置づけに修正を加えて、刑の大枠を設定し、(3)そして、その大枠の範囲内で、累犯前科、反省、被害者感情、同情の余地、身元引受け・更生支援体制が、一般情状として、刑期の加重や軽減を図っているという傾向が明らかになった。また、標準化された刑期の基準からの加重や減刑に、特に影響する量刑因子も見えてきた。
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