研究課題/領域番号 |
16K17023
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永江 亘 金沢大学, 法学系, 准教授 (20610786)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 会社法 / 募集株式の発行 / 企業ファイナンス |
研究実績の概要 |
本研究では、組織再編における価格決定の在り方とその考慮要素との比較的な検討を念頭に、募集株式の発行に係る価格決定における法的制度の在り方およびその考慮要素について検討することとしている。本年度は、その基礎的な研究として、我が国の募集株式の発行に係る議論を参照するとともに、申請者が過去の研究活動において行ってきた研究の補完を行った。米国では2014年のRural判決以降、組織再編における価格の公正性を担保するメカニズムに大幅な変化が生じている。というのも、取締役の責任を回避するための投資銀行の責任について、取締役の信認義務違反に基づく、教唆・幇助責任が議論され、判例法理の上で、当該責任が拡大されている現象が確認されているためである。他方で、取締役の責任と株主総会による承認との関係についても、近時重要な判決が示されており、組織再編における価格決定の公正性を担保するべきプレーヤの責任の規律付けには、多くの変化が生じている。上記のとおり、組織再編における価格決定の在り方が株主に対して与える影響、換言すれば組織再編における株主間の利害対立の状況と、募集株式の発行時における株主の利害対立の状況を比較的に検討することが目的あるため、米国の組織再編におけるプレーヤーの責任に対する議論の進展は、本研究の遂行の上で、重要な意義を有するものである。 我が国では、既に募集株式の発行に係る議論が蓄積されており、本年度の研究計画の通り、これらの議論を参照したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究概要に示した通り、米国における判例の進展の整理に時間を要したが、我が国の議論について参照できているなど、おおむね予定通りの進捗となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、我が国の議論をベースに、募集株式の発行に係るファイナンスの理論研究を行う。もちろん、その間も我が国・米国における組織再編に係る株主間の利害調整の在り方に係る議論は継続的に参照する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、PC等の機械設備の購入を見送るとともに、その分だけ本による支出・研究会出席等の出張費を計上した。当該経費区分の割り振りの変更により、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用金額は、助成額に対して、大きな影響を与えるものでもないため、予定通り研究費を使用する。
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