研究課題/領域番号 |
16K17023
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永江 亘 金沢大学, 法学系, 准教授 (20610786)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 募集株式の発行 |
研究実績の概要 |
本年は我が国及び主として米国を中心とした、募集株式の発行に係るファイナンス理論について基礎的な研究を行った。当該研究では、基本的なファイナンス理論を検証するとともに、株価についてファイナンス理論がどのように分析しているかを中心に確認した。 このほか、研究計画及び申請段階では、あまり検討されてこなかった問題を確認することもできた。すなわち、近年ではIPOにかかり、主として米国のベンチャー企業を中心として、無議決権株式によるIPOが多く散見されているところであり、このような企業トレンドを反映した議論を確認することができた。無議決権株式の上場では、上場企業のガバナンスの在り方に関する議論も多く見られたところであり、直接的には本研究の対象範囲とはならないが、本研究領域に係り、多様な種類の株式価格をどのように評価するべきであるかという新たな問題を提起しする。本研究では、このようなガバナンスの議論を確認しつつも、主としてどのようなメカニズムで当該株式の発行価格が決定されているかなどの議論を中心に検討した。もっとも、このようなトレンドに対して、現状では必ずしも十分なメカニズムの検証がなされているとは評価できず、さらなる検証が必要であることは言うまでもない。すなわち、多様な株式が発行される局面では、株主間の属性および属性間の株主の利害対立という考慮要素が新たに生じるものであり、その利害調整原理は本研究が当初想定していた普通株式間のものとは異なる場合が生じる。本年の研究は、このような新たな検討課題を得られたという意味で有益なものであったと評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要に示した通り、上場企業における株式の発行は、その支配権の在り方に関する新たな企業トレンドを反映して多様化しており、その意味で募集株式委の発行における価格決定メカニズムの検証においても多様な論点に取り組まざるを得ない。その意味で、当初の計画に比して、研究が遅れている面は否定できない。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り、法制度の比較を通じで、新規論点も含めて検討を進めていきたい。また、従来より研究を進めている組織再編における交付対価の決定メカニズムに関する議論も近時進展を見せており、当該研究の進捗を確認しつつ、理論的な整合性を確認しながら進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は、すでに採択者の転任が決定しており、備品・書籍等の購入を手続き上の煩雑さを回避するため、転任後に購入することとした。2018年度は、備品・書籍等の購入を通じて繰り越し金額の解消がなされる見込みである。
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