研究課題/領域番号 |
16K17025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐野 智也 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 特任講師 (30419428)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民法の立法沿革 / 19世紀ヨーロッパ法 / 外国法の翻訳 / データベース / 商法史 / 近代法制史 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治民法の起草における参照立法例を分析し、立法沿革を多角的に明らかにすることを目的としている。これまで、外国法、旧民法、国内の法と慣習といった様々な情報を網羅的に特定し、参照に関する客観的な状況が明らかとした。 しかし、例えば、民法の全条文中の約66%でドイツを参照しているが、これは多いと判断できるのだろうか。民法の参照立法例の特徴を示すためには、民法内部の観察だけでは不十分である。そこで、商法との比較を通じて、民法の参照の特徴を明らかにすることを試みた。 例えばドイツの参照についてみると、商法は全条文中の約83%で参照しており、民法は、商法に比べればドイツの参照割合がかなり低いことがわかった。参照の種類数を比較すると、民法の外国法参照では、州法などの細かい単位での法令をも参照しているが、一回的に使われている場合が多いという特徴があることがわかった。また、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダは、民法・商法ともに共通して参照回数が多く、当時の主要な参照対象であったと考えることができる。また、当時の法典の整備状況を考慮すると、スイス、オーストリア、ポルトガルもこれに続くものと考えられる。 他方、編ごとの参照傾向のばらつき方を計量的に分析すると、ばらつき方に影響を与えているのは、特定の編のみで参照されているような国々であると推測できる。これらの国・地域が、民法や商法や各編を特徴づけている可能性があり、これまであまり比較法の対象とされてこなかったこれらの国々の研究を進めていくことの重要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、予定していたデータベースの構築に着手し、データベースの基本データの整備を順調に終えることができた。整備した基本データは、様々な情報処理ツールで利用できる状態になっている。
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今後の研究の推進方策 |
参照関係の影響を計量的に分析する。フランス語をベースとして、条文の類似度を検証する方法を検討する。この結果を踏まえて、日本民法典と各種参照情報とのつながりについて、全体の参照傾向と個別の参照内容を交えて、考察結果をまとめる。 作成したデータベースは、研究者が広く利用できるように、Web上で公開する。システム全体の設計を見直すとともに、旧民法を始めとする日本法の情報も、データベースから閲覧できるように整備する。遅くとも10月頃までには公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース作成役務について、予定よりも低廉に抑えることができたため差額が生じた。当初の予定よりも、機能を追加したいと考えている。
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