研究課題/領域番号 |
16K17026
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 陽一 京都大学, 法学研究科, 准教授 (10737399)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 対第三者責任 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績の概要は、以下の4点にまとめることができる。 (1)平成29年度の会社法関係の重要判例を分析する機会を得たことから、当該分析の一環として取締役・監査役の対第三者責任に関する判例の分析を行った。任務懈怠の要件の位置づけが不明確な裁判例が最近においても少なくないこと、事実上の取締役に相当する者に対して端的に不法行為責任を認めた裁判例が存在すること等、本研究を進めるにあたって有意義な情報を得ることができた。当該分析の成果は2018年9月に公表済みである。 (2)取締役の対第三者責任について他の研究者および実務家(弁護士)とディスカッションを行った。既存の判例法理についての問題意識およびあるべき法制度についての考え方を共有することができた。当該研究成果は2019年7月に公表される予定である。 (3)会社補償およびD&O保険に関する会社法改正の議論をフォローし、対第三者責任への影響について考察した。今後さらに分析を深め、論文として公表する予定である。 (4)取締役の対第三者責任制度と関連する法制度として、信託法における役員の連帯責任制度(信託法41条)について考察を行い、論文を執筆した。当該論文の中では、信託法41条を会社法429条1項の特則として理解しうること、および信託法41条の各要件の解釈論においては会社法429条1項の各要件の解釈論を応用することができることを論じた。同論文は2019年中に公表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対第三者責任制度について、様々な観点から分析・検討を深めることができたほか、研究成果の公表に向けても着実に準備を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究の最終年度となるため、これまでの研究成果をまとめ、公表する予定である。ちょうど、7月に学術雑誌での論文掲載、10月に私法学会でのワークショップ報告の機会を得たので、それらを研究成果の公表機会の1つとして活用したい。あわせて、会社補償およびD&O保険に関して他の研究者および実務家との研究会において報告し、成果を公表する機会を得たので、それに向けても準備を進めたい。
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