研究課題/領域番号 |
16K17032
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
阿部 純一 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90735341)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 婚外子 / 非嫡出子 / 親の配慮 / 共同親権 / 共同配慮 / 親権 / 配慮権 / 民法 |
研究実績の概要 |
3年計画で進められる本研究課題の2年目にあたる平成29年度は、ドイツにおける婚外子共同配慮法の実態調査として、ドイツにおける家庭裁判所及び少年局におけるインタビュー調査を計画していたが、次のような事情から年度内の調査を取りやめ、平成30年度に改めて上記インタビュー調査を実施することとした。第一に、平成28年度から継続している裁判例の分析及び主要文献の検討について、年度内にも重要な裁判例・文献が公表され、その分析・検討に時間を要した。これらの資料は、上記インタビュー調査における質問項目を策定するための重要な部分をなしており、より精緻な分析・検討を必要とするものである。第二に、ドイツ連邦司法省がニュルンベルク・プロテスタント大学に委託し、実施された調査研究「互いに婚姻してない父母の親の配慮の改正のための法律による評価のためのFamFG155a条との関連におけるBGB1626a条に関する特殊調査の評価」の最終報告書が、連邦司法省に提出された後に、議会に対して報告されたことが挙げられる。同報告書は、2013年の法律制定時に5年後の議会への提出が予定されていたものであり、裁判官に対するアンケート調査及びその分析をもその内容としている。そのため、本研究におけるインタビュー調査に際しても、まずは上記報告書の検討を行い、追証的なインタビューの実施を行う必要が生じた。以上のような事情から本研究では当初の計画を一部変更したために遅れが生じているが、これらの遅れは研究計画段階においても想定された範囲に留まっており、平成30年度の研究において回復を図ることが可能であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画に遅れが生じている。「研究実績の概要」において記載したとおり、当初計画していたドイツにおける現地調査の前提となる研究に遅れが生じたことがその主な理由である。これらの遅延は、本研究の計画段階でも予想された事態の範囲内であり、平成30年度中に回復可能であると考える。さらに、遅延の背景にあるのは研究対象となる資料の充実であり、このこと自体は本研究においてはむしろ歓迎するべきである。また、継続的に行っているドイツにおける公表裁判例及び各種文献の分析からは、平成29年度にもいくつかの重要な示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
3ヵ年計画の最終年度にあたる平成30年度は、前年度に実施できなかったドイツにおける婚外子共同配慮法の実態調査として、家庭裁判所及び少年局におけるインタビュー調査を実施する計画である。さらに、2013年改正法に対する評価報告書が公表されたことに伴い、一連の公表裁判例とともに同報告書についても詳細な分析を行い、婚外子に対する父母の共同配慮がどのように機能しているのか、制度の問題点は何かを実証的に明らかにする。最後に、これらの研究成果を学会・研究会で報告し、論文の形にまとめ、公表する作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたドイツにおける実地調査を平成30年度に延期し、それに伴う費用として計上していた旅費等を使用しなかったために次年度使用額が生じることとなった。なお、平成30年度にドイツにおける実地調査を実施する予定であり、そのための費用として使用する計画である。
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