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2016 年度 実施状況報告書

日本民法における血縁関係の位置づけ

研究課題

研究課題/領域番号 16K17034
研究機関上智大学

研究代表者

羽生 香織  上智大学, 法学部, 准教授 (30547279)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード嫡出推定 / 婚姻 / 成年年齢
研究実績の概要

今年度は、嫡出推定制度と婚姻制度との関係性について検討した。特に、父母となる嫡出推定制度と夫婦となる婚姻制度とは、タテとヨコの関係にあり、その交差点に存在する本質を見出すことを主眼とした。
現在、議論されている成年年齢の引き下げについて、民法の視点から考察した。成年年齢の引き下げは、民法の法定年齢(婚姻、縁組、親権、契約など)に影響を及ぼす。大人と子どもの境界線とその根拠を、ローマ法に遡って検討した。また、現行のフランス法と日本法とを比較した。
特に、フランス法における親権解放という法制度について検討した。親権解放という法制度を有しない日本法は、成年年齢と婚姻適齢とが異なるため、未成年者が婚姻し、子の親となる場合を想定している。また、日本法では、成年年齢と養親となる者の年齢とが連動する仕組みとなっており、成年年齢の引き下げにより、18歳・19歳の者が養子縁組により親となる場合が想定される。法律上の親となることは、子に対する養育責任を負うことを意味する。親子関係の成立において、誰が親となるかという論点と関連する重要な視点である。
さらに、成年年齢の引き下げの議論は、民法のみならず、公法(憲法、公職選挙法)や刑法(少年法)等の幅広い分野にも影響を及ぼす。しかし、各法制度における法定年齢は、各制度ごとの趣旨に基づくものであり、必ずしも共通性を有する訳ではない。むしろ、各制度ごとの相違から、大人と子どもの境界線とその根拠を考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、成年年齢の引き下げに関する研究と並行して、今秋に法務省が成年年齢の引き下げるための改正案を国会に提出する方針を固めたことから社会的関心が高まった。本研究においても、民事法以外の研究者から多くの示唆を得る機会があった。他方で、重点を置いていた嫡出推定制度と婚姻制度との関係性のみならず、その周辺域の論点へも関心を寄せることとなった。

今後の研究の推進方策

今年度の研究で得た新たな視点を加えた上で、次年度は出生による親子関係の推定について検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度は、今年度の研究を再確認した上で、補足が必要な部分について資料収集を行い、整理、分析する。

次年度使用額の使用計画

次年度は、主に資料収集に使用する。今年度に得た新たな視点についての考察をより深化させることを目的とする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「18歳選挙権の法的インパクト 民法からの検討―18歳選挙権と民法の成人年齢引下げの議論」2017

    • 著者名/発表者名
      羽生香織
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 744 ページ: 15-20

    • 謝辞記載あり
  • [図書] 『子どもの法定年齢の比較法研究』2017

    • 著者名/発表者名
      山口直也、倉田玲、永水裕子、河合正雄、田巻帝子、高橋有紀、植松健一、鈴木博人、岡田行雄、中島宏、羽生香織、高内寿夫、梁邵英、金亮完、全炳昊
    • 総ページ数
      388
    • 出版者
      成文堂

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公開日: 2018-01-16  

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