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2018 年度 実施状況報告書

日本民法における血縁関係の位置づけ

研究課題

研究課題/領域番号 16K17034
研究機関上智大学

研究代表者

羽生 香織  上智大学, 法学部, 教授 (30547279)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード嫡出推定 / 婚姻 / 出生
研究実績の概要

今年度は、婚姻と親子関係について検討した。(同性婚を否定する)従来の婚姻法において、婚姻とは、1人の男性と1人の女性との結合であると考えられていた。婚姻の主たる機能は、「父は婚姻が指し示す者である」との法諺が表すように、制度として子に父を与えること(父性推定)にある。換言すれば、婚姻は、出生と同時に、子に父と母を与える。したがって、婚姻と親子関係は強固に結びついている。1人の男性と1人の女性との結合という婚姻観の下では、生殖が重要な要素であり、子孫をつくることに意義があった。
20世紀に入り、男女平等の理念を実現しようとする動きは、婚姻法にも及んだ。現代の婚姻法において、婚姻とは、対等な男女関係、さらには、対等なカップルの関係を保障する制度に変容している。婚姻の変容に伴い、婚姻と親子関係は少しずつ切り離され、婚姻から親子関係が独立しつつある。
一連の変化は、フランス法において確認することができる。具体的には、親の婚姻の有無とは無関係に親子関係を成立させる立法の実現、および、同性婚における父性推定の不適用である。
日本において、同性婚の議論は未だ期を熟していない。他方、台湾では、民法改正ではなく特別法の制定により同性婚が実現しつつある(概要記述時(2019年4月)国会審議中)。今後の研究の展開として、フランス法と同様に、台湾法においても婚姻と親子関係に変化が生じるのか強い関心を持っている。また、タイでも同性婚が実現しつつある。タイは本研究の対象国ではないが、関心を持って動向を確認したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、資料の読み込みおよび整理に時間を要した。

今後の研究の推進方策

台湾では、2019年中に同性婚が実現する見込みである。台湾法における婚姻と親子関係の変化に注目したい。

次年度使用額が生じた理由

次年度は、これまでの研究を再確認した上で、研究全体をまとめる。
使用計画として、フランスでは、2019年に生命倫理法の法改正が予定されていることから、現地での研究活動にも充当したいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることが権利の濫用に当たるとされた事例2018

    • 著者名/発表者名
      羽生香織
    • 雑誌名

      民商法雑誌

      巻: 154 ページ: 140-154

  • [雑誌論文] 遺言により被相続人の相続人が遺言執行者に指定された場合、同一人に帰属した相続人としての地位と遺言執行者としての地位との関係について問題となった事例2018

    • 著者名/発表者名
      羽生香織
    • 雑誌名

      私法判例リマークス

      巻: 58 ページ: 70-73

  • [学会発表] 2018年日本民法(相続法)改正の必要と今後の課題2018

    • 著者名/発表者名
      羽生香織
    • 学会等名
      2018日韓定期国際学術大会『日韓民法と労働法の最近の改正動向』(西江大学、韓国)
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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