研究課題/領域番号 |
16K17035
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 尊明 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (50739638)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民法 / フランス法 / 民法改正 |
研究実績の概要 |
平成28年度については、本研究課題に関連した文献資料の収集を活動の中心に据え、問題状況を整理することとしていた。しかし、期間中にフランス契約法が改正され、現地では大小さまざまな研究会が催され、当初の見込み以上に豊富な資料が現れることとなった。そこで、当初は翌平成29年度に実施を予定していたフランスでの研究調査を本年度も実施することとし、2017年2~3月にパリに滞在した。 調査に先立ち、日本国内での研究会で現時点での到達点を報告した。所属機関を関東圏から関西圏へと異動したため、新たな任地で盛んに開催されている研究会において、研究者間ネットワークを利用しての情報交換を行えた。フランス現地での調査においては、これまでの研究活動によって構築したフランス人研究者のネットワークを大いに活用できた。とりわけ、受け入れ研究者から紹介された若手民法研究者達と行動を共にし、収集した資料について討議する機会を得られたことは貴重であった。 上記のような活動から得られた研究実績は、2つのポイントに集約できる。(1)フランス契約法改正において本研究課題が対象とするところの「複数契約の利益構造」が意識された結果、契約間での相互影響に関わる研究が盛んになされていること、(2)複数契約から生じる複数の債権債務関係の処遇については、論者によって立場に違いがあり、契約間の相互影響とパラレルに考える立場もあるが必ずしもそれが有力とも言い得ないこと、の2点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスにおける研究調査については、当初計画では平成29年度の実施を中核に据えていた。しかし、これを平成28年度中にまとまった期間で実施できたこと、フランス人研究者の協力を得て重要な資料の多くを収集できたこと、若手研究者達との情報交換を通じて一定程度分析も進められたことから、当初計画以上に進展しているといえる。 しかし、収集し得た資料は音声データや写真による画像データ等も多く、フランス契約法改正に伴って出版された紙媒体資料の収集は予算の都合もあって十分でない。想定よりも多くの文献が現れたことも影響している。 以上から、全体としてみて、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
フランス現地における研究調査については、平成28年度中にそのほとんどを終えることができた。 平成29年度については、まず、収集が不十分となった紙媒体資料の受け入れを中心に進めていく。その上で、いくつかの研究会報告が内定しているため(北陸フランス法研究会〔金山直樹・慶応義塾大学教授主催〕など)、そのような場での情報交換を経て、研究の精度を高めていくこととする。 これらの知見を踏まえて、2018年1月末締切の記念論文集に、本研究の成果の一部を論文として寄稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属研究機関が変更になり、当該機関から配分される研究費を利用できることとなった。その研究課題のための資料調査のため、図書館等に出張する機会があったが、本研究課題に関する資料も併せて収集できたため、当初予定との齟齬が生じた。 費目別収支において旅費が減少した分、物品費にあてたが、変更額が大きく、完全な吸収に至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度にフランスでの調査を実施した際、当初予定より多くの資料を収集できたため、それらの整理に文房具を用いた。用意が足りなくなってきているため、その補充にあてることとする。
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