研究課題/領域番号 |
16K17043
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
谷川 和幸 福岡大学, 法学部, 講師 (40584032)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知的財産権 / 無体財産権 |
研究実績の概要 |
平成28年度は無体的財貨の規律のあり方に関して、米国を中心とした文献の収集、整理、検討を行うことを予定していたところ、所期の通りの実績が得られた。 まず文献の収集に関して、この問題をめぐる過去の先行業績を調査、収集するとともに、ちょうどこの研究期間内に米国で刊行された Aaron Perzanowski & Jason Schultz, "The End of Ownership"(「所有の終焉」)に接した。無体的財貨が増加する社会の中で既存の所有権法理を再検討すべきなのではないかという問題関心に基づく議論が米国においても正に現在進行中であることを知り、本研究の重要性を再確認するとともに、いくつもの重要な示唆を得ることができた。 次に文献収集、検討の過程で、電子書籍や音楽ファイルといった著作物を入手した消費者の権利のあり方に関連するものとして、著作権法の解釈との関わりで米国においても一定の議論の蓄積があることが明らかとなった。そこで、もっぱら著作権法との関わりという観点から本研究の課題の一側面を描き出す形で、これらの議論を分析した。そしてその研究成果として、「複製物に物理的加工を施して販売する行為に著作権は及ぶか(1)」と題する論文を公刊した(福岡大学法学論叢61巻4号、平成29年3月)。同論文は連載を予定しており、平成29年度においても引き続き続刊を予定している。 この研究と並行して、著作権法との関係にとどまらず、より広い視点から無体的財貨の規律のあり方を論じる文献についても、整理、検討を行ない、一定の方向性を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度には米国を中心とした文献の収集、整理、検討を行うことを予定していたところ、主要な文献の整理、分析が完了し、本研究について一定の方向性を得るとともに、その重要性を再確認した。また本研究の研究成果の一側面をすでに公刊したことは上述の通りであり、研究はおおむね順調に進んでいると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はオランダを中心とした欧州の動向について文献の収集による調査研究を行う。もっとも参照すべき文献の数が限られていることが現時点において既に明らかとなっており、期待する結果が得られないおそれがある。海外調査は当初の計画予定には含めておらず、またスケジュールの都合で実施可能の見通しも低い。それゆえ、欧州に関して十分な資料の収集ができなかった場合には、もっぱら米国を中心とした研究として研究成果を再構成することを検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に収集、整理、分析すべき米国文献が多量に及ぶことが予想されたために、旅費の支出を抑えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に収集、整理、分析すべき欧州文献の購入に充てるほか、研究会出席や報告などの旅費の支出に充てる。
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