本研究は、1900年代後半から1930年代前半における政党政治と地方利益論の関係について、特に東北地方における展開過程に焦点を当てて分析したものである。この間、東北地方が大凶作に見舞われ、アメリカ発の金融不安を受けて、経済的後進地域である東北地方の開発が国家的政策課題となった。1900年代には、政友会の党組織や選挙戦術を背景に、予算拡張の期待感を維持しつつ実際には予算配分を後回しにする体制が形成された。それが、1930年代まで強固に残存し、世界恐慌と東北大凶作後の東北振興政策においても影響を及ぼしたことで、大規模な改革構想が見送られ、小規模な国策会社の設置にとどめられた過程を明らかにした。
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