今年度は、比較分析を行う上での基礎となる税制改革およびそれに関連する社会紛争のデータの収集と、社会運動の帰結に関する最新の研究のフォローを行った。 データについては、税制変更に関する体系的データの取得が困難である中、会計事務所PricewaterhouseCoopers (PwC) が発行している定期情報を入手した。これは同社が1990年から2004年まで発行した記録であり、最新の情報ではないものの、専門家による正確性が高く評価されているものである。実際に学術研究での利用例もあることから、信頼できるソースとして活用を考えている。一方、社会運動の情報については、税制改革に関する情報をもとにしたイベント情報の収集を新聞や論文等をもとに進めているが、社会運動が改革を阻止した(つまりPwCの定期情報には登場しない)事例の収集が十分ではない点が目下の問題である。この解決のためには、社会運動に関する大規模データベース(Gdeltなど)の利用が有効ではないかと考え、現在検討を進めている。 最後に、最新の情報のフォローに関しては、最新の研究のレビューを逐次行うほか、海外に渡航して情報収集をした。第一に、アメリカ合衆国で5月に開催されたLatin American Studies Associationの定期大会(ニューヨーク市)に出席し、環境運動を始めとする社会運動の影響に関するパネルに複数参加した。第二に、エクアドル・キト市に1月に渡航して、税制改革を社会運動が止めた事例に関する新聞資料の収集を行った。
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