貧富の差が激しいラテンアメリカ諸国において、社会政策の原資となる税収の確保は重要な課題である。本研究は抗議行動などの社会的圧力が税収に影響を与えるとの仮説を立てて、研究を進めた。 当初は具体的事例から仮説の検証を試みたが、途中から計量分析にアプローチを変更した。分析の結果、ラテンアメリカ諸国は共通して年を追うごとに徴税能力を高めていることが確認された。これは、抗議行動など各国個別の要因よりも、ラテンアメリカ諸国に共通する何らかの経験が税収の増加に寄与していることを示唆する。例えば、1990年代以後における行政機構の整備や徴税に関する技術の革新、そしてその国際的な知識の共有があることが予想される。
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