研究課題/領域番号 |
16K17052
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
梅田 道生 愛媛大学, 法文学部, 講師 (80735324)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢化社会 / 投票参加 / 選挙制度 / 争点投票 / 人口移動 |
研究実績の概要 |
平成28年度には,研究代表者は「人口高齢化と政治」に関連する国内外の研究動向を調査し,ここから当初の研究計画を発展させる上でのいくつかの着想を得た。またこれに並行して,1)有権者に対する政党の動員活動を規定する要因としての選挙制度,また2)日本の若者投票率の要因としての人口移動と住民票移動(の欠如)についての調査を行った。1)については,従前より研究を進めている日本の参議院の選挙制度の影響についての研究成果とあわせ,その一部を平成29年4月に米国中西部政治学会において報告する機会を得た。また2)は当初の研究計画にはなかったものであるが,投票参加に対して若年期からの習慣形成を重視するMark Franklinの議論,および同年の第24回参院選からの投票権を得た18-19歳の都道府県別の投票率を調査する上で着想したものである。 また以上と並行して,従前より進めていた年齢別の有権者が投票時に考慮する争点に関する研究を発展させて論文の改訂を行い,国際学術誌への投稿を行った。この論文は1972-2013年の合計26回の国政選挙に際して「明るい選挙推進協会」が実施した選挙世論調査の結果を用いたものである。この論文では日本の高齢者が過去40年ほどの期間一貫して若年者より福祉争点に高い関心を示して投票してきたこと,これが福祉問題において高齢の有権者が(元から数が多いことおよび投票率が高いことに加えて)数字以上の影響力を持ったことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来実施する予定であった国際的な比較選挙世論調査であるCSES(Comparative Studies of Electoral System)のデータ分析が遅れているために,このように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は平成28年度に実施した研究を進展させることに加えて,当初平成28年度に実施する予定であったCSESのデータ分析を進め,これらの研究の成果を学会で報告し,論文に投稿することを目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度4月上旬に米国中西部政治学会での研究報告が予定されており,この旅費に対して相当の金額が必要になることが予想されたために,これに備えて平成28年度中の出費を抑えた結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
出張旅費を格安に抑えることができたために,当初危惧したほど高額にはならなかったものの,上記の米国中西部政治学会への出張で20万円以上の出費となった。それでも10万円以上の次年度使用額が生じたために,平成29年度は当初の予算とあわせて有効に活用したい。
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