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2018 年度 実施状況報告書

昭和戦時期の官僚制の変容と体制秩序

研究課題

研究課題/領域番号 16K17055
研究機関法政大学

研究代表者

米山 忠寛  法政大学, 大原社会問題研究所, 研究員 (50738755)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード日本政治外交史 / 日本政治史 / 戦時体制 / 総力戦体制 / 官僚制 / 体制秩序
研究実績の概要

昭和戦時期の日本国内において政治・経済・社会など各分野で発生した変化について、本研究では「秩序」を意識した形での分析を試みている。旧来の研究構図では戦時期は秩序の「崩壊」の過程と見なされる事が多かった。昭和戦前期に既に体制や秩序が崩壊し終えた後の、何物とも表現できない状態と見なされてきたことになる。現在でもそのような理解が通説的位置にあると言えそうである。結果的に政治史研究の領域で言えば、謂わば「崩壊論」とも言える構図に依拠した研究が多く存在することになっている。それに対して本研究は近代日本政治史の全体の構図を転換させる契機になれるものと期待している。
この研究上の問題の背景には、戦時期日本を否定的に評価し、所謂「日本ファシズム」と表現していた研究潮流が批判を受けた結果、現在は研究上では「死語」となったことも関連している。ドイツやイタリアのファシズムやナチズムと昭和戦時期日本に共通性があるのは自明だと見なす分析視角が批判を受けた結果、現在は「総動員」「総力戦」などという形で言い換えられてきている。それ自体は研究上の大きな成果でもあるのだが、その結果として次に「戦時期を体制として十分に表現できないでいる」という現在の課題が発生したものと言える。この点は研究史の再整理も含めて、本研究のみならず日本政治史研究における大きな課題として今後も取り組まれていくものと考えられる。
以上のような問題意識や分析視角に基づいて、本年度も論文を公表し、新たな研究成果のとりまとめにも向かって進んでいる。その他に本研究では戦時の改革や平時・戦時の連関に関心を持って当時の官僚(個人や官僚群)の行動や戦時政治経済における行動について分析していっている。本年度は特に商工省と戦時政治経済システムの分析に力点を置いた。延長した補助事業期間ではこれまでの研究期間の成果をとりまとめる方向で研究を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の資料収集や分析枠組みの構築などの計画していた内容について、おおむね計画していた想定通りに進行している。その上で本研究に関連する分野の近年の研究成果を摂取して発展と展開に繋げていくために補助事業期間を延長することとした。更なる発展に向けて研究活動を展開させている。

今後の研究の推進方策

理論構築や分析枠組みの創出を行ってきたこれまでの成果を踏まえて本年度(平成30年度)は資料収集活動を進めてきた。調査出張や研究資料の収集に重点を置いた。その上で、補助事業期間を延長した期間も含めて今後の研究では研究成果の取り纏めに重点を置いて研究全体のまとめに入る予定である。

次年度使用額が生じた理由

補助事業の目的をより発展させた形で達成させるために、研究開始後に新たな知見を得た隣接分野・関連分野の研究を取り入れた形で資料収集を行い、学会参加、論文投稿、著書刊行などの研究活動を実施することが望ましいと考えたため事業期間を延長することとし、次年度使用額が発生することとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 「昭和戦時政治史における石橋湛山 湛山研究の危機と意義」2019

    • 著者名/発表者名
      米山忠寛
    • 雑誌名

      『石橋湛山研究』

      巻: 第2号 ページ: 113~135

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「岸信介次官更迭事件 「政党政治以後」の政治経済構造と商工省」2018

    • 著者名/発表者名
      米山忠寛
    • 雑誌名

      『年報政治学』

      巻: 2018年1号 ページ: 341~363

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「書評 手塚雄太『近現代日本における政党支持基盤の形成と変容』(ミネル ヴァ書房、2017年)」2018

    • 著者名/発表者名
      米山忠寛
    • 雑誌名

      『國學院雑誌』

      巻: 119巻5号 ページ: 62~65

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公開日: 2019-12-27  

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