本研究課題の3年目にあたる今年度は、東日本大震災後の公共インフラの再建・整備に関する調達行政について、主に地方行政の側面から考察し、“Public Procurement After the Great East Japan Earthquake: Focusing on Measures for Rebuilding and Consolidating Public Infrastructures in Ishinomaki City”と題する論文(全10頁)に取りまとめ、タンザニア・アルーシャにある東アフリカ共同体本部に隣接したアルーシャ国際会議場で行われた第8回国際公共調達会議(IPPC8)で発表した。この中では、これまでに訪問調査も実施した宮城県石巻市を取り上げ、同市の調達案件と調達手法や、職員不足と充足方法などを明らかにした。 今回分析対象とした宮城県石巻市は、東日本大震災による犠牲者数などで最大の被災自治体であり、公共インフラの被害も大きく、同市が実施する公共調達の規模や件数は震災前と比べて格段に大きくなり、入札不調なども発生した。本研究からは、このような大規模な復旧・復興工事をより多くの職員と入札業者の案件参画により迅速に推進していくことが重要になり、従前からの指名競争入札よりも制限競争入札が増えていったこと(及び一部案件での随意契約の利用が増えたこと)や、他の自治体からの職員派遣の受入と任期付職員の採用などによる土木職を含む関係する職員の確保が推進されてきたことなどが分かった。今年度はまた、本研究課題に関連する文献・行政情報の調査や関連の学会への参加なども行った。
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