本研究は今までの日中相互不信に関する研究の歴史重視、二国間の特殊性強調などの視点から一線を画す。本研究は「日中関係研究の理論枠組みの欠如」の克服を念頭に、先駆けて「誤認知」の国際関係の構造(特に日中米関係の構造的な要因)によって形成される理論的な枠組みを構築し、世界でも例の見ない高い相互依存を持ち、関係強化に意欲と努力を見せる日本と中国が逆に相互不信を再生産するという矛盾現象のパズルを国際関係理論の視点から分析した。日中米関係の構造により日中「誤認知」の形成・再生の構造的なメカニズムの応用性は研究者のみならず、実務家と国民にも有益な視点として社会的・政策的な意義も期待できる。
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