研究課題/領域番号 |
16K17070
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 綾乃 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (10467053)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 植民地 / ドイツ帝国 / ニューギニア / サモア / 日本 |
研究実績の概要 |
本研究は、ドイツ帝国(1871‐1918年)の太平洋植民地を考察対象とし、どのように住民の法的地位が規定され、管理されていたのかを比較分析するものである。さらにドイツの統治経験が日本の植民地政策にどのような影響を与えたのかを検討する。 これらの分析を通じて以下の二点を明らかにすることを研究目的とする。まず、①ドイツ帝国の植民地支配の構想の中での太平洋植民地の位置づけを明らかし、さらに②日独間の植民地主義の連関を示す。 初年度の平成28年度は、ドイツ帝国の植民地統治に関する先行研究、研究史と動向の整理を行った。二年目にあたる当該年度は、ドイツ領ニューギニアとサモアの「混血児」と外国人労働者の法的地位をめぐる政策の導入、変容、帰結を分析した。個々の政策を分析するにあたり、本国社会の移民と外国人労働者、帰化申請者をめぐる政策と議論との相関、関係性を視野に入れた。 当該研究に関連する史料と文献調査にあたり、大阪大学附属図書館が所蔵する文献と研究史料、電子ジャーナルを利用した。同図書館を通じ、他大学や研究機関の図書館の利用申請、資料の貸与、複写申請を行った。海外の研究者からの専門知識の享受、情報の共有に際しては、オンライン会議のシステムを活用した。また平成28年8月、ドイツ連邦文書館および外務省政治資料館で史料調査と収集を行った。 上記の史料と文献調査の成果は、国際学会や研究会における論文報告を通じて、すみやかに公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の三点の理由により、当初の研究計画を変更したために、研究の進歩状況は当初の研究計画よりもやや遅れている。 ①本研究で用いる史料と文献は、日本語、ドイツ語および英語で書かれたものに限られている。そのため本研究には、植民地支配下に置かれた人々の観点が欠如しており、宗主国への抵抗や脱植民地化の過程など、被支配者が実践した営為に関する考察も欠いている。またポリネシアやミクロネシア地域の歴史、政治制度、家族やジェンダー秩序など、申請者の考察が及ばない分野が多い。このような考察の不足を補うためには、他分野の専門家からの協力と文献調査が不可欠となった。 ②当該課題に関連する新たな研究成果の公表、文書館史料のデジタル化と情報公開により、これらの先行研究、史料調査と分析が必要不可欠となった。 ③他の研究課題の進展状況、所属研究機関における教育、学務活動の負担が増えたたために、当該課題の研究に従事する時間を減らさなければならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成30年度は、初年度と当該年度の研究成果を踏まえた上で、日本の植民地統治に関する文献と史料の調査、分析に力点を置く。申請者の考察が及ばない分野については、引き続き他分野の専門家の知識の提供を仰ぐ。 平成30年7月、豪州のブリスベンで開催される政治学会(World Congress of Political Science)において報告をする予定である。国際学会の機会を利用して、国内外の研究者との研究交流をはかり、ドイツ帝国の植民地研究に関する国際共同研究の実施を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の二点の理由により、文献雑誌等の購入と複写、専門知識の提供と情報の共有、研究報告にかかる費用が当初の計画の予算よりも低額となった。 ①当該年度の研究は、申請者の所属研究機関である大阪大学附属図書館が所蔵する文献と研究史料、研究設備等を主に利用した。また同図書館を通じ、他の図書館や研究機関の所蔵資料の貸与と複写申請を行った。史料、文献調査においては、できる限り国立国会図書館のデジタルコレクション、電子ジャーナルを利用した。また遠方の研究者からの専門知識の享受と情報の共有、研究報告に際しては、オンライン会議システムを活用した。 ②当該年度、ドイツとチェコにおいて、文献と史料調査を行ったが、学務や教育活動との調整により、当初予定していた出張期間よりも短くなった。
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