近年、アクターの増加により、保健ガバナンスの分散化が問題になってきた。そのような中、フランスは自国の優位性・独自性とWHOの弱点を有機的に結びつける取り組みを行ってきた。新型コロナ禍ではとりわけ、保健ガバナンスへの地政学的な影響も大きく、日本はじめ所謂ミドルパワーの役割は高まっている。フランスの保健外交は、歴史的に感染症対策をリードしてきたという自負や、世界にまたがるパスツール研究所のネットワーク等、特殊事情に支えられたものであるが、その国の優位性・独自性と、WHOの弱点を有機的に結合するという支援スタイル自体は他国の模範となりうるとして、日本はじめ先進国保健外交のあるべき姿について検討した。
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