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2018 年度 実績報告書

EUの政府間交渉における交渉戦術としての国民投票の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K17076
研究機関東海大学

研究代表者

武田 健  東海大学, 政治経済学部, 講師 (10704869)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードEU / 国民投票 / 交渉戦術 / リスボン条約 / 憲法条約 / イギリスのEU離脱 / レファレンダム
研究実績の概要

最終年度(平成30年度)は、EUの中における国民投票の戦術利用について、事例の幅をさらに広げて考察を進めた。各国の資料、EU諸機関の資料の分析を進めるとともに、前年度の終盤に欧州各国で重点的に行った外交官へのインタビュー調査の解析を進めた。本年度はその調査結果を踏まえた口頭報告を二回行っており、(平成31年5月の時点で)論文を2編、執筆中である。研究内容は次の二点にまとめることができる。
第1に、国民投票には様々な戦術的な使い方があるが、なかでも効果的に使うことができるのは、批准の際に国民投票を行わないと他国に約束し、その代わりに自国に有利な譲歩を引き出そうとするものである。リスボン条約の交渉時のオランダ、イギリス、フランス、デンマークがこの使い方をし、妥協を引き出すことにある程度、成功したと考えられる。第2に、国民投票を実施すると発表して、他国から妥協を引き出そうとする戦術については、その効果は限定的であることが本研究からは示唆された。憲法条約の交渉時のポーランドとイギリス、および、EUにおけるイギリスの立場についての再交渉という諸事例がこれにあてはまる。その理由として考えられるのは、(1)EUにおける仲間意識に縛られて合意形成を阻止する戦術はとりにくい、(2)国内での聴衆費用を懸念している、(3)既EUの法体系と食い違う要求はなかなか受け入れられない、などである。
まとめると、政府間で仲間意識や信頼関係が一定程度、発達しているEUの環境のもとでは、「国民投票を行わない代わりに妥協を引き出す」戦術が全般的に受け入れられ、効果を発揮しやすい。対照的に「国民投票を行うと明言して、妥協を引き出そうとする」戦術の方は、使う側にもためらいが生じ、かつ、他のアクターからも反発を引き起こすため、なかなか効果を発揮しえないと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] EU条約改正のための回避すべき国民投票ーリスボン条約交渉の考察ー2018

    • 著者名/発表者名
      武田健
    • 学会等名
      グローバル・ガバナンス学会
  • [学会発表] 外交交渉における「規範」の使い方-EUの基本条約改正交渉を素材として-2018

    • 著者名/発表者名
      武田健
    • 学会等名
      関西学院大学産業研究所講演会
    • 招待講演
  • [図書] 基礎ゼミ 政治学 (分担執筆「FTA/EPAをなぜ進めるのか」)2019

    • 著者名/発表者名
      福井 英次郎
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      世界思想社
    • ISBN
      4790717240

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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