研究実績の概要 |
本研究は一般化割当て問題における安定集合解の存在問題を考察している。 割り当て問題は複数の買い手と複数の売り手の間の取引を対象とする。安定集合解は, ゲーム理論における解概念であり, 買い手と売り手の間でどのような取引きが実現するかを記述するものである。 通常の割当て問題では, 各主体は金銭に関する準線形効用関数をもつ事が仮定されており, 安定集合解の存在が示されている。 一般化割当て問題では各プレイヤーは必ずしも準線形な効用関数をもたない。 このような状況で安定集合解を分析するためには, 既存研究とは異なる新たなアプローチを導入する必要がある。 本研究は, オークションにおける談合プロセスによるアプローチを提案し, 一般化割当て問題において安定集合解が存在するか否かを明らかにすることを目的としている。平成28年度はオークションにおける談合プロセスによるアプローチの定式化を行い, 通常の割当て問題における安定集合解の分析を行った。この分析により, オークションにおける談合フロセスによって通常の割り当て問題の安定集合解を求めることができることを明らかにした。この結果は, "Essential μ-compatible subgames for obtaining a von Neumann-Morgenstern stable set in an assignment game''と題された論文としてまとめた。この論文は, 国際会議"The 9th International Symposium on Algorithmic Game Theory (SAGT-2016, Liverpool, UK)''に採択された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果物である"Essential μ-compatible subgames for obtaining a von Neumann-Morgenstern stable set in an assignment game''と題された論文を改良し, 査読付き国際学術誌に投稿を行う。また, 一般化割り当て問題の安定集合解の存在問題を, オークションにおける談合プロセスによるアプローチで考察する。
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