研究課題/領域番号 |
16K17079
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
坂東 桂介 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (50735412)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲーム理論 / ミクロ経済 / マッチング理論 / オークション / 安定集合 / 安定マッチング |
研究実績の概要 |
今年度は前年度に完成させた論文の改定を行なった。また、前年度に引き続き、一般化割当て問題における安定集合解の存在問題について考察した。一般化割当て問題とは複数の買い手と複数の売り手の間でどのような取引が実現されるのかを考察する経済理論モデルである。安定集合解はこのモデルの均衡状態を記述する解概念である。 今年度は、前年度に提案したオークションの談合プロセスを用いて安定集合解の分析を行った。ここでいう談合プロセスとは、オークションで財を落札した勝者が財を落札できなかったある特定の敗者に対して金銭移転を行い、入札を控えさせるような交渉を表している。今年度の研究では、このような談合プロセスが安定集合解として実現するかどうかについて分析を行った。いくつかの数値例では、談合プロセスが安定集合として実現することが確認できた。一方で、一般的な場合については今後の課題としている。 また、今年度は買い手と売り手の間の取引構造に着目し、それが均衡解の存在にどのような影響を与えるのかについての分析を行った。この研究では、買い手と売り手の間の取引構造が非循環的であるならば均衡解が存在することを明らかにした。この結果は、``On stable outcomes of the multilateral matching''と題された論文としてまとめた。また、この論文の成果を国際会議``European Meeting on Game Theory (SING13) ''、``18th meeting of the Association for Public Economic Theory''(共著者が発表)、``East Asian Game Theory Conference 2017''(共著者が発表)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、一般化割り当て問題においてオークションにおける談合プロセスにより安定集合解を求めることができるということをいくつかの数値例で明らかにした。これは本研究が提案したアプローチの有用性を示す結果であり、今後の研究を進める上での基礎的な結果となる。また、買い手と売り手の間の取引構造に着目した新たなアプローチを取り入れ、均衡解を分析したことも今後の研究につながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果物である"On stable outcomes of the multilateral matching''と題された論文を改良し、査読付き国際学術誌に投稿を行う。また、引き続き一般化割り当て問題の安定集合解の存在問題を、オークションにおける談合プロセスによるアプローチで考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由: 元々参加を予定していた学会(春季及び秋季の日本経済学会) に、 予定が合わず参加することができなかったため。 使用計画: 学会報告を行う際の旅費として使用する。
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