研究課題/領域番号 |
16K17082
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
無藤 望 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (40706222)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 交渉 / ゲーム理論 / 定常性 |
研究実績の概要 |
本研究では交渉問題を非協力ゲーム理論の枠組みで分析している。 外部の主体が提案者となりランダムな提案を行うモデルでは、提案を留保できない場合についての分析を進めた。このモデルにおいては、利得組の確率分布に関する弱い仮定の下で、一意的な均衡が存在し、提案の頻度が無限に大きくなるときの合意までの平均期間が正の有限な値に収束することをすでに示している。さらに、この収束に関して、人数が2人のとき、利得組の確率分布に関する一定の仮定の下で、収束速度が提案頻度の(-1/2)乗に比例することが示された。したがって、有限の提案頻度の下でも、極限で見積もられた値からかけ離れていることはないことがわかった。 参加者が3名以上の提案応答モデルでは、部分ゲーム完全均衡においてある意味での定常性を仮定した場合の帰結の効率性について分析を進めた。均衡帰結は、提案者の選定規則に大きく影響されることが既存文献で知られている。帰結が効率的になるために、選定規則がある程度豊富なパターンを含むことが条件となっていることがわかった。すなわち、任意の2名(同一の参加者でもよい)の参加者について、1人が提案を拒否した場合にもう1人がその次の提案者に選定されるような期がどこかに存在することが条件となる。この観点からすると、既存文献でしばしば考えられる、拒否した者が次の提案者となったり、一定の決められた順で提案者が選定されたりするような選定規則は、現実の交渉過程の抽象化としては過度に単純化されているきらいがあることを示唆しているようにも思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定されていた研究内容が先行している分、平成29年度に予定していた内容が遅れているが、総合的には予定通りの進捗度である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を投稿するとともに、参加者が3名以上の提案応答モデルにおける戦略の定常性の基礎付けについても分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り上げ申請をして30万円を追加したものの、別予算から充当することができたため次年度使用額が生じた。平成30年度は、当初予定に沿って使用する。
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