第一に、時間をかけた逐次的なコミュニケーションのスキームが組織の情報伝達効率を改善する条件について明らかにし、実際の組織においてしばしば行われる「頭出し」と呼ばれる慣行の合理性について、ゲーム理論の側面から考察を行った。この分析結果は、組織内部におけるコミュニケーション頻度と組織のパフォーマンスの関係を理解を深めることに貢献がある。第二に、組織内での意思決定に際して、組織の平均的な意見の重視およびマイナー意見の軽視が組織内の情報伝達を改善することを示した。この分析結果は、「二兎を追う」組織の内部における、メンバー間の公平性と組織の効率性の間のトレードオフの存在を示唆している。
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