研究実績の概要 |
本年度の活動は以下の4点である。まず、混合戦略均衡実験における集団と個人の学習効果の違いについて昨年まとめた論文"Team vs. Individual, Hypothesis Testing vs. Model Selection, and the Minimax Model" (http://www.souken.kochi-tech.ac.jp/seido/wp/SDES-2017-18.html)は引き続き国際誌に投稿中である。第二に、公共財実験における集団と個人の協力行動の動機の違いに関する研究については追加実験を行い、本研究の被験者総数は352人となった。現在、論文を作成している最中である。集団は個人に比べ協力率が低く、その理由として「集団の方が混乱による協力が少ないこと」「向社会的な人と向自己的な人が集団を形成した場合、集団の行動は向自己的になること」など興味深い結果を得ている。第三に、集団の意思決定の経験がどのようにその後の個人の意思決定に影響を与えるかに関する研究についてはインストラクションを完成させ、実験準備が整った。今後、実験を行い、200人程度の被験者からのデータを収集できればと考えている。第四に新たな研究の必要性を感じ、集団と個人の虚偽行動の比較に関する実験研究を行った。集団の方が個人に比べ、より巧妙に嘘をつくということを発見した。また、既存モデルの選好パラメータを推定することにより、集団の方が「嘘をついていると疑われること」に対してより敏感であり、また「嘘をつくことによる心理的コスト」は低いことを明らかにした。本研究は現在論文にまとめている最中である。
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