研究課題/領域番号 |
16K17094
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
二本杉 剛 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (10616791)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 実験経済学 / 公共財 / 罰則 / フィードバック効果 |
研究実績の概要 |
どの国にとっても,政府税収を確保することは持続的で基本的な問題である.そのため,脱税には罰則が規定されている.しかし,現実社会における低い監査率と小さい罰則では,脱税に抑止効果がないのではないかと指摘されている.本研究では,脱税に関する情報をフィードバックすることで,社会的要因が強化され,納税協力が高まり,たとえ抑止力がない罰則であったとしても機能することを実験手法を用いて検証する.
2017年度は,まず抑止力のない罰則を理論的に構築した.この点については,先行研究などから採用した.具体的には,標準的な線形の公共財供給ゲームのもとで,ある閾値水準を要求し,その水準を下回った違反者を全員罰する.なお,「閾値水準 > 罰則の大きさ/公共財への投資1単位あたりの損失」のときに公共財へ投資しないことが支配戦略となり,罰則制度は抑止力を失う.次に,公共財供給ゲームの実験において,フィードバック効果を検証している実験研究について調査し,それらを参考にして実験デザインを完成した.
現在は,2017年度に検討した実験計画を段階的に実験している状況である.実験から,おおむね予想通りの結果が得られてはいるが,統計的な有意差が得られるにはいたっておらず,今後も引き続き,実験を続け理解を深めたい.一方で,情報のフィードバックを利用して相手の将来行動を操作しようとする動機を派生的に発見した.これについては既に論文を完成させ,現在,海外雑誌へ投稿する準備が整いつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的な実験を実施したものの,被験者は予定していた人数よりも少なく,その結果,報酬の支払額が当初よりも少なかったため.
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に作成した実験計画を実験する.さらに,結果を分析し,論文としてまとめ,海外雑誌に投稿を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は実験被験者の数が当初予定していたより少なかったため.
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