日本経済史・思想史において多大な影響力をもった日本マルクス主義と同様に、高橋も日本資本主義の後進性・脆弱性を厳しく指摘した人物の一人であった。日本資本主義の構造を静的に分析した際、これを開発独裁型の上からの革命による後発資本主義と認識し、下からの革命なくしては維持・発展できないと考えた点などは、マルクス主義の思想とよく似ていたと言える。しかし高橋は、暴力的な社会主義革命を必須とするマルクス主義とは異なり、産業組合や経済統制などの内部変革をつうじて日本資本主義の改良は可能であると考えた。本研究ではこうした高橋の独自な立ち位置を、具体的な政策提言のなかで明らかにした。
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