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2016 年度 実施状況報告書

経済見通し予測誤差の要因とその税収見通しへの影響

研究課題

研究課題/領域番号 16K17119
研究機関東京理科大学

研究代表者

土屋 陽一  東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (70711620)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード経済予測 / 景気循環 / 政府予測
研究実績の概要

本研究の目的は、政府の発表する税収と経済見通しの予測誤差を把握し、税収見通しの予測誤差がどのような要因から生じるかを明らかにすることである。より具体的には、(1)政治的圧力によるバイアス、(2)経済状況の悪化(景気後退)の認知ラグによるバイアス、の2要因を同時に考慮した上で、予測バイアスがどちらの要因、またどちらの要因が大きな影響を税収見通しに与えているかを検証することである。平成28年度の研究は以下のように行った。
第一に、税収見通し、経済見通しのデータを収集、データベースの作成を行った。両見通しともに1955年度以降のものを収集しており、戦後日本経済についての包括的な分析が可能となった。第二に、税収見通し、経済見通しについて各内訳項目の予測誤差を明らかにした。予測誤差については、内訳項目やサンプル期間により異なる結果が得られた。そのため、予測誤差と経済構造や景気循環との関連がうかがわれる。第三に、税収項目の予測誤差を被説明変数、経済見通しの予測誤差を説明変数の一部として回帰分析を行った。これにより、税収項目の予測誤差は、関連のある分配面の経済見通しの予測誤差と関連があることが分かった。例えば、所得税収の予測誤差が雇用者報酬の予測誤差から、法人税収の予測誤差が営業余剰の予測誤差から生じている。
最後に、非対称損失関数を仮定した上で、それぞれの変数について損失関数のバイアスを一般化積率法(Generalized Method of Moments)を用いて推定した。税収項目と経済見通し項目の多くでバイアスが検出された。明確な傾向は見られていないものの、高度成長期までは下方バイアスとなるものが多い、高度成長期以降は上方バイアスとなるものが多い、ことが分かった。さらに、近年(特に2000年以降)になるほどバイアスが縮小、消失している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、所属機関において新たに行政的業務を担当し始めたため,研究活動に費やせる時間が大幅に減ってしまった。また、研究を補助してもらうアルバイト学生の確保が遅れてしまった。これらの計画策定時には想定していなかった事由により、研究の遂行、特に分析がやや遅れてしまった。ただし、分析手法についてはすでに習熟しており、分析の遅れを取り戻すことは十分に可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、非対称損失関数を仮定した上で、Quantile Regression(Patton and Timmermann, 2009)の手法により(1)政治的圧力によるバイアス、(2)経済状況の悪化(景気後退)の認知ラグによるバイアス、の2要因が各変数、特に税収見通しの予測誤差に与える影響を推定する。これにより、政策的なインプリケーションを導くことを主眼とする。さらに、研究成果を国際学会で発表し、英文学術誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗がやや遅れたため、参加を予定していた学会への参加を見送ったため。

次年度使用額の使用計画

研究補助の学生を活用することから、彼らへの謝金に充てることに加えて、国際学会で成果を発表するための費用に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Uncertainty of budget and macroeconomic forecasting: asymmetric loss or unpredictability of recessions2017

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Tsuchiya
    • 学会等名
      the 37th International Symposium on Forecasting
    • 発表場所
      Cairns, Australia
    • 年月日
      2017-06-25 – 2017-06-28
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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