研究課題
若手研究(B)
本研究課題では、金融政策を担当する金融政策委員会が直面する誘因の問題に焦点を当て、望ましい金融政策委員会制度の設計を理論的に考察した。情報透明性と委員のキャリア形成意識などにより委員は既存の理論が想定していなかった誘因を持ち得るが、それを反映した簡潔な理論モデルを作成し、厳密な分析をおこなった。具体的には、金融政策委員会の最適人数やそれと意思決定方法の関係を調べ、委員間の協調誘因が強い環境や中位者投票ルールで合意形成がなされる環境では、小さい委員会を形成するべきであることが分かった。
マクロ経済学
まず、金融政策委員会の意思決定を織り込んだ金融政策の理論分析は十分おこなわれておらず、マクロ経済学における本件の理論的な新規性は高い。また、委員会における透明性とキャリア形成意識という先端的なミクロ経済理論のトピックを具体例に応用し、その含意を集団的意思決定の設計という文脈で引き出している。政策決定に関する透明性が重視される現代において、それを前提とした政策制度の設計を論じることは、学術研究が果たすべき重要な社会的貢献であると考えられる。