研究課題/領域番号 |
16K17126
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
善如 悠介 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10754682)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 両面市場 / プラットフォーム / シェアリングエコノミー / フリーミアム / カルテル / 契約形態 / イノベーション |
研究実績の概要 |
平成30年度の実績を以下の3項目に分けて記述する。 1. eコマース・プラットフォームと販売業者との間の契約形態に関する理論研究: 近年、Amazonや楽天をはじめとしたeコマース・プラットフォームでは、プラットフォームが製造業者から財を調達し、自ら販売する卸売契約 (wholesale contract) に加えて、製造業者がプラットフォーム上で直接価格を設定して販売する代わりに一定の手数料をプラットフォームに対して支払う代理店契約 (agency contract) が広く普及し出している。これらの契約形態は、必ずしもプラットフォームによって一方的に決定されているわけではなく、手数料の決定と関連して戦略的に決定されている側面がある。今年度は、この点に注目した新たな2つの論文を執筆した。1つ目の論文のタイトルは "Strategic Contracting and Hybrid Use of Agency and Wholesale Contracts in E-Commerce Platforms" であり、2つ目のタイトルは "Strategic Contracting and Supplier Encroachment Through an E-commerce Platform" である。どちらの論文も現在査読雑誌から改訂要求を受けている。 2. プラットフォームにおけるカルテルに関する理論研究: これは、平成29年度に着手し始めた研究課題であったが、平成30年度中に完成させることができた。現在、査読誌への掲載を目指して投稿作業を進めている段階である。 3. その他: 平成29年以前に執筆した論文のいくつかは、まだ掲載まで辿り着いていないため、引き続き改訂・投稿作業を行っている。また、平成30年度は、合計2つの論文が査読雑誌に受理・掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度中に、合計2本の論文が、Real Estate EconomicsとJournal of Economics & Management Strategyにそれぞれ受理・掲載された。特に、後者の論文はプラットフォームに関する特集号に組み込まれることとなり、すでに出版された。 また、新規に執筆した2つのワーキング・ペーパーが、Operations Research分野のそれぞれ異なる査読雑誌から改訂要求を受けた。ここまで早いペースで進められるとは予想していなかった。 しかし、その一方で未だ掲載受理に至っていないワーキング・ペーパーも存在するため、この点を割り引いて評価した結果「(2) おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、今年度以前に執筆した2つのワーキング・ペーパー (Freemium Competition in Advertising Platform Markets と Platform Most-Favored-Customer Clauses and Investment Incentives) を査読雑誌に掲載することを優先的な課題としたい。 また、今年度に執筆し改訂要求まで順調に進んでいる2つのワーキング・ペーパーに関しても慎重に改訂を重ね、掲載まで辿り着ければ良いと思う。 さらに、今年度に完成したカルテルに関する論文を国内外の学会・研究会で報告する予定があるので、得られたアドバイス・コメントを活用しながら査読雑誌への掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に、平成28年度の繰越額が多かった (651,051円) ことが関係している。この年度は新しく現在の所属に移った年で、思うように国際学会に参加するスケジュール管理ができなかったためである。そのため、今年度で当初の使用計画に近づけられたとも言える。 また、次年度は最終年度でもあるため、これまでの各研究成果をまとめた論文を完成させる予定である。当初の計画以上に多くの論文が仕上がりそうなこともあり、繰越金額を英文校正費用や学会発表に係る経費として使用する予定である。
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