行政機関の情報公開と公開情報活用による教育政策評価

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K17143
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 中村 亮介 福岡大学, 経済学部, 講師 (50759272)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: アカウンタビリティ / 教育政策評価 / 教育の経済学

研究実績の概要

平成29年度における本研究課題の研究実績の概要を説明する。まず、教育委員会を対象とした当該組織の外部に向けたアカウンタビリティ(説明責任)に関するアンケート調査の解析を行った。このアンケート調査の質問の中には現時点から過去の数年間を振り返る回顧式の質問項目を備えており、その質問項目を用いて疑似的に縦断データを作成し分析に用いた。アカウンタビリティに関する指標と学力の関係について縦断データと横断データを用いて、それらの結果の比較を行い、現時点において、アカウンタビリティが高いことが一部の教科の学力に因果的な意味での影響を与えていることが分かった。また、行政機関が保有している情報を活用した教育政策の評価として平成28年度より引き続いて、統計法33条に基づく調査票情報を利用した。平成29年度は平成28年度までに構築していた新しいデータを用いて分析を行い、教育政策変更が国民の経済状況にどのような影響を与えるか検証した。特に学習指導要領の変更によって大きな変化が生じたと考えられる教育内容の影響が調査対象者の年齢向上に伴いどのように変化していくかの結果を得る事が出来た。さらに、平成29年度の研究課題として、教育政策評価のために公開されているデータを収集したうえで、新たなデータ構築を目標としていたが、平成29年度においては公開されている情報の一部を収集するにとどまった。ただし、データ収集に関しては半自動化のためのプログラミング作業を行っており、このプログラムを活用して、平成30年度の作業の効率化を図る予定である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画通り、平成29度は平成28年度までに入手したデータの分析を中心に行い、最新のデータに基づく研究結果の更新を行う事が出来た。ただし、平成29年度に構築予定であった教育政策評価分析のためのデータセットは、必要な情報の収集先がWeb上や書籍上に複数あったため、時間を要している。また、書籍上の情報は分析可能な形とするために、データ入力作業を行っているが、その入力された情報の確認に多大な時間を要しているためデータセットの構築が遅れている。このため、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

平成29年度はデータの収集および確認に時間を要したため、平成30年度においては研究補助者を雇用してデータ収集のスピードアップとデータの質の向上を図る。さらに、平成30年度は本研究課題の最終年度であるため、研究成果をまとめたうえで、学会や研究会の場で発表を行い、フィードバックを得たうえで、学術論文としての投稿を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度に行ったデータ入力作業の委託費が安価に済んだため次年度使用額が生じた。この分については、追加でデータ入力作業を委託するための費用とする。また、データ収集・確認のための研究補助者の雇用のために用いる。