研究課題/領域番号 |
16K17143
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
中村 亮介 福岡大学, 経済学部, 講師 (50759272)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アカウンタビリティ / 教育政策評価 / 教育の経済学 |
研究実績の概要 |
平成30年度における本研究課題の研究実績の概要を説明する。本研究の目的は教育において施策の情報開示やその結果の説明といった「アカウンタビリティ」がどのような役割を果たしているか、明らかにすることにある。そのために、二つのことを行い、その成果を研究会の場で発表した。まず、全国学力・学習状況調査の公開情報を利用して都道府県レベルのパネルデータ(縦断データ)を作成し、学力テストの結果を学校がどのように活用しているかと学力の関係を実証的に分析した。分析の結果、学力テストの結果を学校が積極的に保護者や地域住民に開示することには、一部の学年や教科に対してプラスの影響を及ぼすことが明らかになった。また、前年度に引き続き市区町村教育委員会を対象に行ったアンケート調査の分析を行い、全国学力・学習状況調査の結果をどのように開示するかといった選択が市区町村の平均学力に与える影響が、開示方法によって異なることを明らかにした。 また、本研究の二つ目の目的として、既存の統計調査のデータを用いた教育政策の評価手法の確立がある。そのために統計法33条に基づく就業構造基本調査の調査票情報を利用した高校における学習指導要領がもたらす長期的な影響に関する研究の成果を国際学会にて報告した。具体的には、これまでの研究成果を拡張させて、高校の学習指導要領の変化が将来の就業状況に与える効果とその効果の経年変化を、1時間当たりの賃金、就業の有無、役職者への登用の有無などいくつかの指標を用いて推定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度において分析用データセットの構築に時間を要していたが、平成30年度においては研究補助者の確保、およびデータ入力業務の外注化を図ることによって、分析を前進させることができた。また、その成果を取りまとめて研究会、国際学会の場などで報告し、有益なコメントを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度において必要なデータ分析を行い、研究成果を報告することができたが、その報告によって分析の課題や改善点も見つかったため、それらの解決に努める予定である。これらの進展した成果を次年度において、論文の形として取りまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は海外で開催される国際学会で報告する予定であったが、最適な国際学会が国内で開催されたため、費用を抑えることができた。次年度使用額については、国際学会での発表などを通じて得られたコメントを反映した研究内容の報告のための出張費用や改訂稿の英文校正費などに充てる予定である。
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