本研究の目的は、行政機関が集めている情報とその公開や活用がもたらす意義を教育経済学的観点から明らかにすることにあった。研究期間を通じて、その目的を達成するために主に3つの点に絞って分析を進めてきた。まず、行政機関が収集したデータを公開することの意義や影響に焦点を当てた。具体的には市区町村の教育委員会に対して、教育委員会が果たしているアカウンタビリティ(説明責任)に関する調査を行い、市区町村のアカウンタビリティの程度がどのような要因によって決まっているかについて分析を行った。さらに、文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査の都道府県別結果をもとにデータを構築し、学校のアカウンタビリティの程度と平均的な学力の関係について分析を行った。また、行政機関が集めている情報を使った、教育政策評価分析を行った。具体的には、就業構造基本調査の匿名データを用い、たびたび改訂されてきた学習指導要領に注目し、高校時代に学ぶ教育内容の影響が、就職後、時間を経過してどのように変化するかについての分析を行った。最終年度において、これらの研究成果を国際学会や国内研究会の場において公表するとともに、得られたコメントを基にした分析のさらなる精緻化を行った。
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