新型コロナウイルスの影響により、3月に予定していたエジプト出張をキャンセルした。その影響から論文の完成がずれ込んでいるが、科研費の終了後も引き続き当該テーマの研究を続ける。費用は、大学から拠出される個人研究費を主に使用することで十分対応できると考えている。関連論文である"Technological Progress and Self-Reinforcing Degree Inflation in the Canadian Labor Market" with Prof. Seung-Gyu Simについては引き続き査読付きジャーナルへの投稿を続けている途上である。この関連論文では、大学進学とその後の若年失業の課題についてはスキルミスマッチの問題が根本原因であるという解析結果が出ている。エジプトも高学歴者のスキルミスマッチが過大だが、特に女性が高失業率であるというデータの解釈は現地でのヒアリング無しには解決しなかった。これは公的機関での安全な職場環境での就業のみを希望し、それ以外の職場では非就業を希望する、という安全な労働環境への強い選好が影響しているためだ。特に、多くの割合を占めるSMEsでは雇用者が男性であり、サービスセクターの顧客も男性であることが嫌煙され女性就労が伸びない。他方、工場などで女性が集団で就労し、男性管理職や男性顧客と1対1で対応せずに済む職は嫌煙されずらい。その点を逆手にとった起業の動きもある。予定していた出張ではその点についてさらに必要なデータを回収する予定であったが叶わなかったため計画の変更を検討している。また、現地のJ-PALとスキルミスマッチを解消するような政策介入実験について打ち合わせる予定もしていたが、それについても今後の課題とする。
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