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2016 年度 実施状況報告書

信用リスクマネジメントに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K17150
研究機関南山大学

研究代表者

池田 亮一  南山大学, ビジネス研究科, 准教授 (40526480)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード信用リスク
研究実績の概要

我々は「信用リスクマネジメントの研究」というテーマで,メインバンク制度による信用リスクへの影響に焦点を当て研究をしてきた.日本では企業と銀行の結びつきが強く,資金調達を銀行からの間接金融によって行うことが多い.企業は通常いくつかの銀行から借り入れを行うが,その中で最も結びつきが強い取引銀行のことをメインバンクと呼ぶ.メインバンク制度の一つの特徴的な点は,企業の経営が悪化した場合,その支援・救済にメインバンクが主導的役割を果たすことである.メインバンクの融資順位が高いと言っても.通常融資シェアは20~30%と相対的に低いものであるが,にもかかわらずメインバンクは企業の経営が悪化した場合.貸出金の返済猶予.貸出金の金利の減免.貸出金の一部切り捨てなど経営再建に向け.取引銀行を代表して交渉をまとめていくことがしばしば見られる.このようなメインバンク主導の再建は通常メインバンクの損失を大きくし,むしろ救済を行わず企業を倒産させて自行の債権を確保した方が損失額が少なくて済む場合も少なくないと考えられる.
従来のモデルでは,企業の信用リスクを理論的に算出する際にこのような影響を反映させることができなかったが,今年度の研究により,我々は構造型アプローチによって新たなモデルを構築し,倒産コストが多額に及ぶ場合はメインバンクが返済を猶予することによって信用リスクが軽減される仕組みを持った,ベーシックな理論モデルを構築することができた.このような理論モデルが構築されたことは,企業の信用リスク予測における新たなファクターとして保有する債務の債権者のタイプをインプットできることを意味し,信用リスクのさらなる予測制度の向上につながることが今後期待されるものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

理論論文は"Credit risk analysis with creditor’s option to extend maturities"とのタイトルですでに2016年12月に論文誌"Annals of Finance"に掲載された.元々2017年中の掲載を目標にしていたので,当初の計画より大きく進展している.

今後の研究の推進方策

今後はこの理論モデルを用いて,日本市場で取引されているクレジットデフォルトスワップ(CDS)の価格を説明することができるか,実証研究にとりかかる予定である.

次年度使用額が生じた理由

物品として本の購入冊数が計画段階よりも少なく抑えられたためであるが,ほぼ計画通りと考えている.

次年度使用額の使用計画

本のほかにソフトウェアの購入等に充てる計画である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Exeter(United Kingdom)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Exeter
  • [雑誌論文] Credit risk analysis with creditor’s option to extend maturities2016

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Ikeda, Yoske Igarashi
    • 雑誌名

      Annals of Finance

      巻: 12 ページ: 275, 304

    • DOI

      10.1007/s10436-016-0281-9

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Credit risk analysis with creditor’s option to extend maturities2016

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Ikeda ans Yoske Igarashi
    • 学会等名
      2016 FMA European Conference
    • 発表場所
      Helsinki, Finland
    • 年月日
      2016-06-09 – 2016-06-10
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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