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2016 年度 実施状況報告書

戦前期日本の資本市場と企業統治

研究課題

研究課題/領域番号 16K17156
研究機関明治学院大学

研究代表者

北浦 貴士  明治学院大学, 経済学部, 准教授 (00633489)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード資本市場 / 企業統治
研究実績の概要

2016年度は、次の2点から研究を進めた。1つは、経営者ネットワークによる役員兼任行動に関する研究である。1907年・1917年・1925年の『全国諸会社役員録』に記載された東京府(現在の東京都に該当)の株式会社の取締役・監査役・相談役のデータベースを用いた。対象社数及び延べ役員数は、1907年が484社、3,289名、1917年が1,056社、6,587名、1925年が2,725社、17,961名である。複数の会社の役員に就任している役員数及び割合については、1907年では、433名、18%であり、1917年では、930名、20%であり、1925年では、2,380名、18%であった。ここから、時代によって割合に大きな変動がないことが分かった。また、兼任社数が増加するほど、それに該当する役員数は減少し、べき乗分布をとっていたことも合わせて判明した。そのうえで、兼任社数が多い役員を登用する会社が、どのような会社であるのかを存続年数、製造業、資本金規模の観点から検討している。
もう1つは、1920年代から1930年代にかけての資本市場や企業統治の構造が、株式会社の配当政策や減価償却行動にどのような影響を与えたのかという点である。配当金額や減価償却金額の増減を利益の増減による部分と利益に占める配当金の割合(配当性向)や減価償却金額の割合の増減による部分に分けて分析を行った。その結果、1930年代一貫して利益の増減による影響が大きいこと、また1930年代前半にはそれに加えて配当性向や利益に占める減価償却金額の割合の変動も大きいことが判明した。以上の研究成果は、経営史学会が発行する英文学術雑誌であるJapanese Reserch in Business Historyで公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1917年・1925年の『全国諸会社役員録』に記載された東京府(現在の東京都に該当)の株式会社の取締役・監査役・相談役のデータベースを用いた分析を計画通り行ったこと、1920年代から1930年代にかけての資本市場や企業統治の構造が、株式会社の配当政策や減価償却行動にどのような影響を与えたのかという点については、Japanese Reserch in Business Historyで公表したことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

経営者ネットワークによる役員兼任行動に関する研究については、さらに、ネットワーク分析ソフト(UCINET)を用いて、全体のネットワークの状況を検討したうえで、分析結果を、国際学会での報告、国際学術雑誌への投稿という形で公表していくことを目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究期間の初年度である2016年度は、大学図書館所蔵の書籍や大学図書館のデータベースを中心に資料収集を行ったため、結果として予定したほどの支出が発生しなかった。

次年度使用額の使用計画

次年度以降に主に関係書籍の購入、国際学術会議への参加のための渡航費や国際学術雑誌への投稿に伴う英文校正費用に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 日本企業の会計処理の歴史-東京電燈にみる「投資家との対話」2017

    • 著者名/発表者名
      北浦貴士
    • 雑誌名

      企業会計

      巻: 69-4 ページ: 453-458

  • [雑誌論文] The dividend policies and depreciation approaches of Japanese companies in the 1930s2016

    • 著者名/発表者名
      Takashi Kitaura
    • 雑誌名

      Japanese Reserch in Business History

      巻: 33 ページ: 33-59

    • DOI

      10.5029/jrbh.33.33

    • 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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