H30年度は,①組織の多様性と創造性発揮の関係性について他領域における研究成果を企業文化研究へ応用する可能性を検討すること,②量的研究と質的研究をつなぐ研究方法について具体的な研究デザイン・モデルを検討すること,③アンケート票設計ための予備的聞き取り調査を実施すること,④具体的なアンケートの設問項目を検討すること,⑤アンケート調査を実施すること,⑥調査から得られた量的・質的データを分析・考察することを課題とした。 ①~②の理論研究については,過年度の研究成果をより精緻化することに努めた。また,実証研究の部分では,①~②での理論的考察や③の予備調査を踏まえたアンケートを設計し,本調査を実施した。アンケートの設問は,部門内の方針やリーダーの特性等を問う「職能部門の特性」,部門内のコミュニケーションのあり方を問う「部門を超えたコミュニケーションや活動」,部門内のモラールや組織学習の状況を問う「職能部門の状況」,「部門文化間の相互作用と全社文化の存在」の4項目,約30問(自由記述式回答を含む)で構成した。調査の対象は,これまで得たデータと関連させる目的で国内製造業とし,これらの企業で研究・開発業務,生産業務,販売業務(売り場担当業務は除く),間接(人事,経理,財務,会計,総務)業務に従事する主に正社員に対して,彼らの在籍企業と所属職能部門に関するアンケートを依頼し,412名から回答を得た(うち有効回答は406件)。なお,アンケートの回答依頼から回収までの作業は,株式会社マクロミルに業務を委託し,同社のwebアンケート・システムを用いて調査を実施した。本調査の結果(選択式回答)は,「「部門文化の多様性と組織の活性化」に関する調査」として『千葉大学経済研究』第34巻第1・2号にまとめた。
|