本研究は、1960年代後半から70年代前半にかけての国鉄の2つの再建計画における過大な需要想定、その中でも特に鉄道貨物輸送の過大な需要想定に注目し、そのような計画がなぜ策定されたのか、組織内外のどのようなやり取りを通じて策定されたのか、またその結果として他の政策や意思決定に対してどのような経路を通じてどのような影響を及ぼしていたのか、といった問題を、国鉄本社の内部資料と当事者たちへの聞き取りを通じて記述・分析した。本研究で明らかにされたのは、ひとたび作られた過大な需要想定が、それを「実態とは乖離している」と認識している人たちをも巻き込んでいくプロセスである。
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