研究課題/領域番号 |
16K17164
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
佐々木 将人 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (60515063)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 事業投資 / コーポレート・ベンチャー・キャピタル / スタートアップ企業 / 定量分析 |
研究実績の概要 |
現在、企業の事業投資の1形態として「日本企業のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動を分析対象として採り上げて研究を実施している。 CVCとは、一般的にはベンチャー・キャピタル等の機関が行うベンチャー投資を、事業会社が自社の戦略目的のために行うことを指している。日本では、ベンチャー企業への投資のうち約7割~8割をCVCが占めている。これは、アメリカのCVC投資額が全体の2割~3割程度であるという結果と比べると非常に大きく、日本におけるベンチャー企業の育成に果たすCVCの役割は非常に重要なものであると言える。他方で事業会社にとってもベンチャー企業は先端的な技術や新しい事業やビジネス・モデルの源泉であり、事業会社による投資対象として近年注目を集めている。また、スタートアップへの投資は、一方で自律性を与える必要がありながら、他方でスタートアップの成長のための知識移転や新しい技術を投資企業の社内に吸収するための知識移転を行う必要があるというジレンマを抱えるものでもある。そのため、CVCは今回の研究テーマの分析対象として非常に有望な事象であると考えた。 これまでの研究では、アメリカでのCVC投資企業へのインタビューに加え、スタートアップへの投資に関する日米の商業データベースと日経Financial Questの財務データベースを組み合わせた独自のデータベースを構築した。これらのデータに基づいて、どのようなCVCがスタートアップの成果に結びついているのか、あるいはどのような企業がCVCという新たなマネジメント施策に着手できているのかについて、定量的な分析を行ってきた。この成果の一部は、2016年5月に行われたJoint JFIT-STAJE conference at UC San Diegoにおいて報告済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、コーポレート・ベンチャー・キャピタルという本研究の分析対象として有望な事象を選定し、研究に着手することが出来た。その後の研究の進捗についてデータベースの作成が進行しており、分析可能な形式が整いつつある状況である。そのため、今後の研究に関しての具体的な方針が決定している。 また、成果の発信という点に関しては、既に一部の成果に関して上述したようにカンファレンスで報告済みであり,また2017年8月に行われるアメリカ経営学会(Academy of Management)のパネル・セッションにおいても報告予定である。以上の点から現段階ではおおむね計画していた進行は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、まず現在作業を行っているコーポレート・ベンチャー・キャピタル活動について、定量的な分析を進めていく予定である。この領域は、経営戦略論やコーポレート・ファイナンスの領域において欧米企業を中心に実証研究の蓄積が行われており、それらの研究に依拠しながら日本企業の行動についての実証研究が展開可能であると考えられる。 他方で、定量的な分析を補完する形で定性的なインタビュー調査を実施していく予定である。
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