特許がイノベーションの代理変数になりにくい業種において、商標が新製品・新サービスの代理変数として機能することを確認した。他方で、よりミクロな分析の結果として、商標の出願は、企業の事業分野、ブランド戦略、知財戦略(防衛的出願など)、知財費用等の制度(出願料や権利維持費用など)の影響を大きく受けるため、他のイノベーション指標と同様に、商標はノイズを含む指標であることも確認された。 商標の企業成果への影響は、産業横断的な分析からは明確な傾向が読み取れなかったが、特にブランドが重要であるとされる産業(食品産業)では、新製品に対する商標取得率の割合が高いほど利益率が高い傾向が認められた。
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