研究課題/領域番号 |
16K17169
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中村 友哉 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 講師 (20618128)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イノベーション / 技術経営 / 価値創造 |
研究実績の概要 |
本研究は新たな価値を生み出すイノベーションの創造過程を探求している。中でも本研究が着目するのは、メーカー側が意図していなかった製品の新たな使用法や意味を、消費者側が創造する機能開発のケースである。これまでは偶発事例として扱われることが多かったケースに光を当て、企業のイノベーション開発の一助とすることが本研究の目的となる。 平成29年度は理論面として、当該現象に関連するイノベーション研究やマーケティング研究、消費者行動研究等からの文献研究を進めた。ここでは、消費者の製品使用段階における新たな機能面での価値創造に対する各研究領域での蓄積をふまえ、様々なタイプのイノベーションに対する理論的基礎付け作業を中心に行ってきた。イノベーションの創造過程をモデル化し、そのメカニズムを把握することがその目的である。 また、消費者側の視点からでは見えてこない、企業側の視点を取り入れるため、個別企業へのインタビューをふまえ、消費者の製品使用段階における新たな機能面の価値創造を企業側がどのように認識し、イノベーションに取り入れるのかといった課題についての理論構築作業を進めた。 消費者側とメーカー側が共創するプロセスには、様々な現象がある。本研究では、比較的研究蓄積の少ない消費者の使用段階における新たな機能面の価値創造過程をイノベーションの視点から分析し、そのプロセスのモデル化を行っている点に学術的な特色と独自性を有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は研究課題に関する理論的な検討と同時に、企業側へのインタビューを行い、以後の仮説構築作業に必要となる情報の収集を行ってきた。当初予定していた海外での学会報告が平成29年度に行えなかった点など、計画との齟齬も存在するが、平成30年度に挽回が可能であり、進捗はおおむね順調と捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進について、当初計画に沿った形で作業を進めていく予定としている。具体的には、消費者の視点から進めた初年度の研究成果と2年目の研究成果を対応づけた上で、企業が消費者による製品の新たな機能面での価値創造をどのように新製品開発に活かすことが可能なのかを分析し、施策にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外での学会報告に行くことができなくなり、また予定していた海外でのインタビュー調査に1度しか行くことができなくなったため。 平成30年度は、既に海外での報告が決まっており、また平成29年度に行くことが出来なかった海外インタビュー先への訪問も予定しているので、繰越分とあわせて予定通りの支出となる予定である。
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