本研究の目的は、革新的技術のイノベーションがどのように波及していくのか、そのメカニズムを明らかにすることである。特に国の政策上、先端分野や重点分野に位置付けられ、その波及効果も含めて高い産業の競争力が期待されている地球温暖化対策技術を対象に、よりミクロなプロジェクトレベルの分析視点によって、革新的技術の波及効果を左右する要因を実証する。
本研究の1年目の平成28年度は、主に既存研究のレビューに並行して、ウェブアンケート形式でのパイロット調査、及びインタビュー調査を行い、2年目の平成29年度にそれらを踏まえた大規模な質問票調査を行った。この調査データを分析し、そもそも革新的な地球温暖化対策技術の研究開発にはどのようなマネジメント上の問題が生じ、それらがどのように事業化成果や波及効果の創出に影響するのかを明らかにした。続く3年目の平成30年度から最終年の令和元年度にかけては、これまでに実施した質問票調査から得られたデータの分析結果を踏まえつつ、サンプル内に公的支援を受けたプロジェクトが特に多い点に注目し、公的支援プロジェクトならではの構造的特徴や課題を克服するプロジェクトマネジメントのあり方を検討した。
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